“Please don't disappear, love.”
「せんせぇの…ばか…先生が居ない方が勉強はかど…るも…んっ…」



「………」



「ひと…りで居るのが…やだから、家庭…教師つけてもらっただけ…だも…ん…せんせぇじゃなくてもいいもん…」



泣きじゃくる私の隣で平然としている先生。



何も言わない。



重い空気。



先生は視線を反らしたまま、ため息を一つ。



触れそうで触れない距離に居るのに、心はこんなに遠い。



先生には想いは届いてないんだね?



届かないんだね。



シャボン玉の様に消された想い。



先生は無言のままに煙草とライターを取り出して、窓際に寄りかかり、窓を開けて煙草を吸い出した。



先生が空を眺めて居たから、私は先生が机に置いた煙草の箱に、イタズラした。


夏が終わり、秋の入り口。



少し肌寒くて、風が冷たくなり始めた頃。



日も暮れるのも早くて、より一層、せつなさが増す…。





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