怪しい羊と迷えるオオカミ'S【完】
カチャッと鍵を開けドアを抑える美祈と肩が軽く触れただけでドキドキするのは瑛太の方。
振り返るとドアを閉めて中に入った美祈と急接近して
今度は美祈もドキドキが止まらない。
「お…おぅ。これどこに置くか」
美祈の状態を察知し、大人の瑛太は雰囲気を打破。
これは、自分のためも多分にあるが恋愛初心者を包むため。
「今お茶いれますね。ソファーに座ってて下さい」
視線を合わせぬままトレイを受け取る美祈の頬はうっすらと色づき
それを隠すようにキッチンへ
ソファー…
これだよな。
この小さいソファーだよな。
俺がここ。あいつもここか?
いやあいつはそっちか?
柊ちゃ~ん。拷問だよ~
座ったものの落ち着かない瑛太を冷やかすように
ピー♪
静かな部屋に聞こえるケトルの音。
コトンと小さなテーブルに置かれる可愛い湯呑。
「これから食べたいの」
恥ずかしそうな顔をしながら見せたのは『いもきんつば』
これをチョイスする俺は完全に座敷童への土産選び。
座敷童といえば和だ和。
つまりは和菓子。
そしてソファーではなくソファーの下に座った美祈を目で追って
助かったような残念なような。
「絶対美味しいよね。消費期限3日だよ」
「余裕だろ?」
もう1日は経過しちゃってると笑いながら
「ノルマは2つ。残りの2つは課長にお土産ね」
瑛太からではなく座敷童からの土産になった。