怪しい羊と迷えるオオカミ'S【完】
俺…こうやっててこいつを女って意識しねぇや。
親みてぇな…ヒナ抱いてるみてぇな感じ?
やべぇ…俺の男としての本能どこいっちまったんだ。
そんな柊哉の気持ちなどしるよしもなくこうして胸を借りて泣いているマコも男の胸を借りているというより布団?枕?それに近い感覚だった。
その感覚も柊哉はしるよしもなかった。
「マコの事、有難う」
エレベーターの中で瑛太を見つめた美祈からのお礼の言葉。
「話し聞いただけだ」
瑛太の手にはデコレーションの箱。
美祈の部屋に着くとすぐに蓋を開け
「わぁおいしそう」
「あいつと食え」
「でも」
ケーキについているプレートを指さして
書かれた文字は
『再起にかける女たち』
「今、たぶん下で号泣してる」
えッと途端に心配顔。
「お前の前じゃ泣きたくないんだよ」
「今までは泣いてたよ」
「それでも今は泣きたくないんだ。プライドだな」
「プライド?」
それは、美祈と張り合うような負けたくないというプライドではなく
恋をしたら幸せになると教えたいマコのプライド。
こんなに傷つき泣くという恋愛の姿を見たら不慣れな美祈がそうなるんだと思い込むのを避けるため。