怪しい羊と迷えるオオカミ'S【完】
玄関のドアが閉じた音が聞こえると
おもむろに立ち上がった柊哉がティッシュの箱を持っても隣に座る。
「座敷王子、いきなり何!22歳の乙女に何しようとしてるの」
ケラケラと笑い
「考え過ぎたバカ。いいかティッシュ1箱で泣き止め」
「泣かない」
強気に答えたいたけどその口はギュッと我慢するかのように結ばれていき
「知ってるやつよりほとんど会わねぇやつの方が都合がいいって事もある。1人で泣くか、大人の男の胸を借りるか選ばせてやる」
「昔遊んでた男は凄いよ」
ティッシュを数枚抜き取ると零れてきた涙をふき取り
「この際、座敷でもいい」
「何だその扱い」
笑いながら自分の方へ引き寄せてくれる柊哉の胸で
「すっごい悔しい。わかってるけど悔しいし悲しい」
「そいつとはそこまでだったって事だ」
「割り切れなくてもそんな男を見抜いて捨てたロッキーは賢い女だ」
マコはシクシクと泣いていたのが次第に号泣になったが、その間もずっと柊哉は大丈夫だと言うように背中をトントンと優しく叩いていた。