怪しい羊と迷えるオオカミ'S【完】


「あれが、中学だよ。分校じゃないでしょ」


「だな。でもどんなに生徒が大勢いたって美祈が一番可愛かったさ」


「そんな事ないって」


「いやそうなの。そんでマコとコタと過ごしたすげぇいい場所」


「そうね」


悲しい思い出をすごくいい場所と塗り替えるように話しをする瑛太さん。



通学路を辿りながら良く一緒に寄った海浜公園へ来た。


古くなっていたものが新しく取り換えられたベンチに


「すごっ新品」


「俺が来るってわかってたか?」


「有名人じゃん」


笑いながら並んでベンチに座って少し先に見える海を眺めた。



「いいとこだな」


「うん。大好きな町」



販売機を見つけると買ってくるなと立ち上がり缶コーヒーを2つ買って戻って来た。


「寒いな」


「そりゃそうよ。海風で凍えそう。でもアラスカはもっと寒いのよね」


「あぁ。こんなもんじゃねぇよ」


缶コーヒーを1口、2口と飲み始めると瑛太さんが話し始めた。



「今度の撮影は1ヵ月半の予定。ほとんど連絡もとれないと思うってのは言ったよな」


「う…うん」


「その後、フィンランドでの仕事をやりたいと思ってる」


「うん」



やっぱりそうか…フィンランドなのか――――。






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