怪しい羊と迷えるオオカミ'S【完】


「友だちなんてたくさんいるからいいってもんじゃねぇんだ。量より質だ。お前は最高に質のいい友だちがいるんじゃねぇか」


「そうですよね。最高の友だちなんです」


「大勢いてもそんないい友だちが見つからねぇやつもいるんだよ。お前は勝ちだ」


「勝ちですか」


「そうだ勝ちだ。他のやつらがくだらねぇ事やってる間に大事な事を学び合って本当の友だちってやつを得たんだからな」



瑛太は決して慰めの優しい言葉を連ねることはない。

自分を卑下しているような発言を指摘し新しい解釈を美祈に聞かせる。



「その友だちとは今でも繋がってんだろ?」

「はい」

「それみろ。お前の地元にそんな友人がいるやつってそういねぇぞ」

「そうですよね」

「そうだ」



中学高校と青春を楽しむ時期に苦労したんだなと心の中で瑛太は呟いた。

確かにあの頃は男女が一緒にいるだけで冷やかしたり性にも目覚める頃だしな。

人が傷つくことより自分が楽しい事を選んじまいがちだよな。

こいつはそれで自分の顔を隠したり人目につく事を恐れて怯えた態度になるってことか。




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