怪しい羊と迷えるオオカミ'S【完】


少し走り出すと美祈は中学から高校にかけてあった出来事をポツリポツリと話し始めた。


そして親からせっかくもらった顔なのに、それをいろいろ言われるのが嫌だと話す頃にはまた涙声だ。


「トラウマなんです。この顔も私のする事も人に嫌われるって完全にトラウマで…」



トラウマ…


これは、心の問題。

かける言葉も励まし方もよくわからない。


頑張ってるやつに頑張れとも言えねぇな。

本人が一番頑張りたいって思ってんだもんなぁ。


「私の対処の仕方に問題があったとも思うんです。はっきり違うってきっともっと何度も何度も言えばよかったんだと」


「言ったところで変わらねぇよ。やるときゃやるもんだ」

「そうでしょうか」

「なんで転校するかって言われたときにしなかった。そんなトラウマになるまで耐える必要ねぇだろ。逃げるが勝ちって知らねぇのか」


親に心配かけたくなかった事やそこからいなくなれば言われている事を認めるようで嫌だったこと。幼馴染だけはずっと一緒にいてくれた事を話しだした。



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