怪しい羊と迷えるオオカミ'S【完】
「あの…」
「なんだ?」
「わたしの今の姿でもキライって思わないですか?」
「思うわけねぇだろ。いつものお前も今のお前も俺からしたらどっちも可愛いんだよ。まぁ今のお前は見慣れねぇけどすげぇ可愛いぞ」
言ってから俺、すげぇ恥ずかしい。
可愛いとか言っちゃう俺に引いたりするなよ。
「有難うございます。私も…えっと…氷室さんを見習って堂々とするのが目標です」
あ…初めて名前を言われた。
だけど氷室さんって言われた事がちょっと淋しくも感じる。
「俺、あんたとかお前って呼んでたな。悪かったな。芹沢さんでいいか?」
「全然平気です。芹沢でも芹沢さんでもスキに呼んで下さい」
「じゃあ座敷童」
「は?」
怒るかなと思ったけれど可愛いからだと弁解する自信があった。
今日一日でその可愛さがどれだけ増えたと思ってる。
それなのに隣で大笑いを始めた。