怪しい羊と迷えるオオカミ'S【完】


「確かに座敷童みたいですよね。あははは。あははは」


膝の上のウィッグを被ってみせて

通り過ぎる車が座敷童がいるって言ってるかもと笑い続ける。



「気に入ったか」

「物凄く」

「イケるねぇ」

「はい。意外とイケる口なんです」

「プッなんじゃそりゃ」


瑛太も美祈も今日一日ですっかり打ち解けた。


秘密を打ち明けた事で美祈の心は軽くなり瑛太も美祈の苦しい気持ちを受け止め見守ってやりたいと思った。

誘ったことも行くと行ったことも本人たちには不思議な出来事。


だけどそれは、美祈を元気づけたい瑛太の心と社会人として生活を送ることで美祈が思っているよりずっとトラウマが薄らいできた証拠。


言葉がぶっきら棒でも思いやりのある優しさをたくさん感じる事が出来た。

「氷室さんに出会えて本当に良かったです」


純粋な美祈の言葉にもドキドキしてしまう瑛太だった。

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