怪しい羊と迷えるオオカミ'S【完】
「あいつ、海辺の町で生まれ育ったって言ってたな」
きっとこんな景色を見て育ったんだろう。
海の幸の丼を胃袋へ納めながら頭の中に浮かぶのは美祈の姿。
記憶はあいまいだがマコとコタと笑っている姿を思い浮かべた時には
「俺、やばいって」
何を純情ボーイみたいな事やってんだよ。
いびつな形になったアルミの灰皿に煙草の灰を落としながら
「呪いの威力、半端ねぇ~」
トントンと指先で灰を落とし煙を燻らせる。
「そんでも、心ん中が何かほわほわっってすんだよな」
おばちゃんにお金を払い再び車に乗って移動すると
暫くシャッターを切ってから市街地にあるビジネスホテルへと車を走らせた。
シャワーを浴び息が詰まりそうなほど狭い部屋。
ベッドの上で横になるとスマホで時間を確認。
呪いだから逆らえねぇんだ。
自分にする言い訳。
せっせと美祈にメールを打つ自分が笑えないからだ。
今日から北陸に撮影に来てる。
何か欲しいものあるか?
俺…何を聞いてんだよ。
送信すると画面を睨みつけ返信を待つ。