泣き虫とヒーロー ~約束の四つ葉のクローバー~


耳は聞こえるか、とか、

この指は何本に見える?とか

声は出るか、とか

手に力入るか、とか

でもそんな事どうでもいい。

「いく…と…に…あい…た…い…。」

ポロリと零れた涙を見て、

驚いた顔を見せた小泉先生とお母さんは、

顔を歪めると、

「今日は、もう夜遅いから…

明日、会いに行こう。」


そういって、病室から出て行った。


お母さんと、小泉先生の話によれば、

私は階段から落ちた事となんらかのショックで3日間眠っていたらしい。

膝の事も怒られた。

疲労骨折したいのとも言われてしまった。

声もそのうち戻ると言われた。

けど、

そんなのも頭に入らなくて、なんとなく聞いてるだけ。

あんな高さから落ちて無傷なんて、おかしすぎる…

なんらかのショック。

心当たりはないけど、

もしも、私を抱えるようにして血だらけになっていた郁人が私の幻覚じゃなかったら…

無意識に震え始める体。






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