第二秘書は恋に盲目
俺はそっくりそのまま言い返してやりたい気持ちを何とか抑え込んだ。

「優しくしてんだろ」

「や、優しいときもありますけど…。
振り幅が大きいんです!しかも、優しさも転じて嫌がらせにしか思えない時があります!

もっとこう、素直になってください。じゃないと、私には孝宏さんの考えがわかりません!」

まぁ千歳の言う通り、優しく見える俺の行動は、彼女にとっては嫌がらせを意味していることの方が多いかもしれない。
実際俺もそれをわかったうえでやっている。
それもこれも、千歳の反応が面白いんだから仕方ないんだけど。

「気が向いたらな」

「ほら、そうやってクールな返事しかしないんだから。

孝宏さんは私のこと厄介な女だって思ってるでしょうけど、きっと、これからもこういう患者さんは現れますからね?
女性だったらどうにか丸め込めるかもしれないですけど、男性だったらそうはいきませんよ。

だから今は特訓期間です。練習できてよかったですね」
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