第二秘書は恋に盲目
川の上にかかる大きな橋の上を歩く。隣の車道を通る車のライトのせいで辺りはそこまで暗くない。そのせいで、すれ違う人には女性を背負う可哀想な男の姿がはっきりと見えていることだろう。
一体どんなふうに思ってるのか。

知り合いに目撃されてないことを祈ろう。

ここまで徹底して面倒をかける千歳も千歳だが、色々理由をつけて放っておけない俺も俺だ。
何でここまで深く関わりを持ってんだよ。
家族だからって、ここまでする必要はないんじゃないか?

今まで同じ女性とここまで長く一緒にいたことなどない。飽きると言うよりも、気を引こうと狙った言動に嫌気がさすから。

千歳が入院して、家族になって…。はじめはそういう女と何も変わらないと思ってたんだけど、どうやら何かが違うらしい。
だから俺は、千歳にはいつもと違う行動をとってしまってるんだ。
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