第二秘書は恋に盲目
『千歳?どうした…?』

孝宏さんだ…。

私は再び走り出した。電話の向こうでは孝宏さんの呼ぶ声が聞こえるけど、とにかく走った。

そして、足音に気付いて振り返った孝宏さんの胸にふわりと飛び込んだ。スローモーションのように感じられるこの瞬間、私の中の何かが満たされるような気がした。

「…千歳!?」

やっと聞けた声に、やっと触れられた体温に、私の心を塞き止めていた物は一瞬にして崩れ去った。

「好きです。

孝宏さんがいてくれると私は幸せです。

いろいろ言い訳を探して、この想いが外に出ないようにってしてきましたけど、もう無理です。
やっぱり私にとっては、他の誰でもなくて孝宏さんが1番みたいなんです」

この想いが届いて欲しい。
自分の気持ちに素直になれなくて、避けてしまったことを許して欲しい。

ぎゅっと背中に回した手でスーツを掴んだ。
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