第二秘書は恋に盲目
ぼんやりしながら、サラリーマンの波に紛れてとぼとぼと夜の街を歩く。

……。
あ。そういえば、私の身近にはもう1人、有能で天才な人間がいた。
その人はどうだろう?人の心はありそうだろうか?

…。

「ふふっ」

 つい笑ってしまった。
孝宏さんと出会ってから今までのことを思い出していただけなのに。

こんなこと、面と向かって言ったら絶対に怒られるだろうけど、でも、あんな可笑しな人いないよ。

病院に行かないから家に引っ張り込むって、どれだけ型破りな医者なのよ。

孝宏さんも、桐山社長や槇島さんと同じように天才で、確固たる地位があって、自信もあって…。
なのに、孝宏さんには親しみが湧く。私の中では、2人とは違って見えている。

家族だからかな?
よくわかんないや。
ただ…、はっきり言えるのは、親しみが湧いているからと言って何を言われても、何をされても笑って許せるという訳ではないということだ。
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