愛の歌、あるいは僕だけの星
(あれ、俺……目ぇおかしいのかな)
何度か目を擦り、もう一度隣の彼女を見る。確かに、そこにいる。間違いなく存在している。けれど、どうにもおかしいのだ。
「な、なあ……、あんた、大丈夫?身体、透けてる……」
はっきりとした違和感だ。そう、彼女は透けていった。
周りの景色を見渡しても、やはり透けているのは彼女だけ。銀也の目がおかしいわけではない。銀也の戸惑い揺れる問いは、真正面から返された。
『まあ仕方ないよ。だって、ゆーれいだからね!』
にっこりと満面の笑顔を浮かべて、彼女は言った。
「ていうか、も、もしかして……!」
この顔に見覚えがあった。
だって、つい数日前まで同じ場所で顔を合わせていたのだから。彼女は小さく肩を竦めて言う。
『もしかして、もしかしなくても、如月ですけど。もう忘れちゃったの?流石に酷くない?』
完全にパニックだ。いや、だって、え、でも。動揺に、きちんとした言葉を成すことが出来ない。ぞくりと背筋が冷えて、嫌な汗が頬を伝う。銀也は、完全に混乱していた。
そうして、理解出来る範囲をあっという間に突破した瞬間、ぷつりと銀也の意識は途切れたのだった。