愛の歌、あるいは僕だけの星
ふたりについていくのは、何だかおじゃま虫みたいで気がすすまない。大体、教室にいったところですることもない。
"今日、如月に会いに行こうかな"
そう言って笑った銀也の顔が、夏の脳裏を過ぎる。
(そんなにすてきな笑顔が出来るんだから、今度はちゃんと生きている人に見せてあげなよね、藤原君)
そうしたらきっと、今よりももっと、彼のことを好きになる人間が増える。綺麗な容姿だけじゃない、彼が持ってる不器用な優しさにちゃんと気づいて、好きになってくれるような人。
もう一度屋上へと戻る。鍵は必要ない。そのまま身一つ、扉をすり抜け、誰もいない外へ出た。