愛の歌、あるいは僕だけの星
夏の親友である、彼女の声だ。最近、三原亜矢子や夏との関わりもあって、話す機会が多いからよく覚えている。同い年にしては、ずいぶんと大人びていて、落ち着いているタイプだと思っていたからその感情的な声には少し驚いた。
「理由は、何度も言ったよ。レンゲ」
今度は、男の声だ。というか、この声ってまさか。
『銀也、大変……!レンゲと蒼井君だよ!!』
首を伸ばしていた夏が、ものすごい形相でこちらを振り返り、そして神妙な面もちでぽつりと呟いた。
『ヨリ、戻すのかな……』
その言葉に、思わず「はあ!?」と声を上げてしまい、慌てて自分の口を塞ぐ。おそるおそる彼らの方へ視線を向けるも、幸い気づかれなかったようで、ほっと胸をなでおろした。
どういうことだよ!小声で夏に聞けば、夏は不思議そうに首を傾げて言う。
『どうもこうも……、銀也こそ知らなかったの?レンゲと蒼井君て、今年の春までつき合ってたんだよ』
あの、真面目で堅物な副会長の蒼井と、神谷さんが……。なんだかよくわからないけれど、ショックを受ける。