愛の歌、あるいは僕だけの星
「俺もそっち、いってもいいですか?」
律儀にそうたずねてくる蒼井に小さく頷くと、蒼井も側にある梯子を伝い銀也の隣へと座った。
「いい眺めですね」
「ああ。この学校の中で、ここが一番落ち着くんだ。誰もいないし」
「……すみません、騒がしくしちゃって。嫌なところを会長に見られちゃいましたね」
困ったように眉尻を下げる蒼井に、何と言えばいいのか分からなかった。正直に言ってしまえば、自分は相談役には向いていないし、そもそも今までそんなものを受けたこともなかった。逆に、自分から誰かに相談をしたこともなかった。夏をのぞいて。
そもそも、他人の心配をするだなんて、以前の自分だったら考えられないことだった。先ほどの屋上の場面でさえ、何にも気にすることなく、あのふたりの間を通って退散出来たはずだ。
何も言わない、言えない銀也を見て、蒼井がくすくすと笑い出した。
「な、なんで笑うんだよ!」
「ふふふ、無理に慰めようとかしてくれなくていいですからね」