この恋は、風邪みたいなものでして。

文面だけでも、私を惑わせる。

なんて酷い人だろう。

文章さえも愛しい彼。

彼への風邪は、キスぐらいでは治らないらしい。
文章だけでも、好きだなって思ってしまうのは、キスの副作用なのかもしれない。

シャングリラに行こうと駐車場を跨いで行こうとしたら、向こうから菊池さんが歩いて来ていた。

一緒の遅番にしては、菊池さんも来るのが早い。


「あは。おはよーう。起きれたかな」

ハートが飛び舞ってしそうな、幸せそうな声。
電話しながら歩いているようで、終わるのを待って挨拶しようとした。

「うん。昨日約束したじゃん。モーニングコールだよ」
「!」
こ、これは、私が聞いてはいけない話なんじゃないかな。
昨日って、柾達との飲み会があったはず。

思わず聞き耳を立てないように、携帯を取り出した。

すると、数分前に菊池さんからメッセージが来ていたのを、見落とししていたらしい。

『昨日、すっごい楽しかったの。早く出勤するから話聞いてね』

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