自殺 ~飛べないカラス~
「少なくとも僕は、鳥は翼をなくしたら鳥じゃなくなると思っている。鳥であることの1番の証明である翼をなくして、どこを見て鳥だと確信するの?信じるの?」

「……」

「飛ぶことが出来なくなった鳥は、自分が鳥じゃなくなったことに絶望し、生きることを諦めると思ったんだ」

「……じゃあ、それがカラスである理由は?」

「……ふふっ。あなたは知っていた?カラスって、ものすごく頭がいいんだ。人間が思わず感心してしまうほどに」

「……そう、なんですか」


「その賢いカラスがどう考えても行き着けなかった“生き続ける”こと。生きることを諦めてしまうこと。

 あなたは心にたくさんの穴が空いても尚、今を生き続けている。『生きたい』と望んでいる。逃げ腰にはなっていても、決して生きることを諦めてはいない。“飛べないカラス”じゃない。……ね?そうでしょう?」


 目の前の人物が言わんとしていたことが、分かった……ような気がした。少なくとも、最初の頃よりは言動を理解したつもりだ。
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