オークション
だけどあたしは、それに対して反論することができなかった。


100%悪いと言い切る事ができないから。


「たしかにあたしと石澤先輩は才能をお金で買った。


だけどあなたたちはどう? 夢を叶えるためにお金を払って勉強をしてるんじゃないの?


それって、才能を買うのとどう違うの?」


藤吉さんの目が真っ直ぐにあたしを捕らえる。


夢を叶えるために勉強をする。


知識を教えてもらう。


そしてそれを自分のものにする。


一連の行動はオークションで才能を買うのと大差ないのだ。


ただ、オークションで才能のある部分を切り売りするというやり方が異質なだけで……。


「全然違う」


エレナがキッパリと否定した。


その目には迷いがない。


「勉強してそれを自分の物にしても、それを利用して未来につなげられるかどうかはわからないんだよ。


オークションで買っているのは、すでにプロの世界から認められている力じゃない!!」


「清井さんには何を言っても通じないみたいだね。まぁいっか、頑張ってね」


藤吉さんはそう言うと、チラリとあたしの方を見て屋上から出て行ってしまったのだった。
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