オークション
「本当はどうなのか、ちょっと調べてみる?」


「調べる?」


エレナが首を傾げる。


「うん。石澤先輩の事を知っている人に直接話を聞いてみれば、藤吉さんが嘘をついているかどうかわかるでしょ」


もし、藤吉さんの言っている事が本当だったとしたら……。


オークションの才能は本物だ。


手に入れれば、未来は明るい。


そう思うと、体の奥がカッと熱を持つのを感じた。


「石澤先輩を疑っているようで嫌だな……」


エレナは顔をしかめてそう言った。


「石澤先輩は自分の努力で夢を勝ち取った。その証拠を掴んで藤吉さんに突き付けてやろうよ!」


「うん……そうだね。そうしよう!」


こうして、あたしたちは3年生の教室へ向かったのだった。
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