Butterfly
「まあ・・・疑問はあると思うけど。津島はキミが抱えている事情を、オレにしか話さなかったから。

佐渡も多少納得してない感じだったけど、岡本は特に・・・。自分の彼女のことだから」

「そう・・・ですよね・・・」

「岡本は、キミのことがとても大切みたいだし。

気持ちが強い分、隠し事をされると、苛立ちが起こるのは仕方がないことかもしれない」

「はい・・・」


（そうだよね・・・）


会いたくないわけじゃない。

けれど、だからといって、会いたいというわけじゃない。

別の仕事で呼ばれたとはいえ、実際の蒼佑さんも、もしかしたらその境界線で気持ちが揺れているかもしれない。

「・・・・・・こんなこと、オレが言うのもなんだけど」

しばらくの沈黙の後、「ゴホン」と咳払いをした市谷さんが、とても言いづらそうに話を続ける。

「もし・・・キミの気持ちが落ち着いたら、岡本に話だけでもしてやってくれないか」

「え？」

「その・・・・・・痣のこと。見せるのは、すごく勇気がいるだろう。

もちろん、話すだけでも簡単じゃないと思うけど。言わない限り、あいつはキミを信じきれない」
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