Butterfly
「千穂ちゃん・・・!?どうしたの、こんなところで」

待ち合わせの詳細は、蒼佑さんには内緒にしてほしいと市谷さんに頼んでおいた。 

私が会いたがっていると理由を言って、断られるのはつらかったし、ここまできたら、どうしても彼に会いたかった。

「・・・ごめんね、 仕事中に・・・。市谷さんに頼んだの。蒼佑さんに会えるように」

反応が怖くて、私はうつむきながら話する。 

その時、後ろから近づいてきた車のヘッドライトに照らされた。

ププーッ!

突然辺りに響き渡った、大きなクラクション音。

飛び上がるように驚いた私の肩を、蒼佑さんが抱き寄せた。

「・・・とりあえず、車の中で話そうか」

彼に促され、私はドアを開けて助手席の位置におずおず座った。

蒼佑さんは硬い表情で、運転席に腰をおろした。


(なんか、すごい久しぶりの距離感・・・)


彼が、私の隣に座っている。

この状況が、今の私にはまるで奇跡のように思え、ドキドキと胸が高まった。

「・・・そっか」
 
突然、蒼佑さんが、思い出したようにふっと笑った。

驚いて視線を向けると、彼は「ごめん」と言って話し出す。

「いや・・・市谷さんに言われたんだ。張り込みしてる最中にさ、突然ここのスーパーに行けって。

で、着いて10分たったら戻ってこいとか言われてさ。訳わかんなくて・・・聞いても答えてくれないし。

なんだろうなって考えてたんだ。なんかテストされてんのかなとか、指名手配中の犯人でも現れる可能性があるのかなーとか。いろいろ考えてたんだけど。

・・・千穂ちゃんが現れた」
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