Butterfly
時刻はまもなく22時。

酔いが醒めた里佳さんと私は、外灯に照らされた夜道を二人でてくてくと歩いていた。

玲奈さんも来たがっていたけど、龍一くんは寝ていたし、時間も時間だったため、「後で報告待ってるよ」と言って家で待機組になった。


蒼佑さんとは、0時までが営業時間の、駅近にあるスーパーの駐車場で落ち合うことになっていた。

もう夜も遅いので、私たちが来やすくて明るくて安全な場所で、と、市谷さんが探して指定してくれた場所だ。

「じゃあ、私はお店の中で待ってるから。終わったら連絡してね」

「はい・・・ありがとうございます」

「がんばって」と笑顔で言って、里佳さんはお店の中に入って行った。

私はその後ろ姿を見送って、蒼佑さんの車を探した。


(黒のセダンで、ナンバーが・・・)


張り込みの合間なので、車は警察所有のものだそう。

初めて見る車を決して見逃さないように、私は一台一台チェックした。


(あ、あった・・・)


外灯の、ちょうど真下にあたる位置。

彼が普段乗っているものよりも、ひと回り大きな車だった。

フロントガラスからは、辺りを警戒しているような、真面目な顔をした蒼佑さんの姿が見えた。


(やっぱり・・・少しやせたかな)
 

薄暗いガラス越し。

その姿は、やはりやつれているような感じに見えて、私の胸はチクリと痛んだ。

ふう、と一度深呼吸。

そしてそのまま、ゆっくりと彼の車に近づいた。

一歩一歩。

ドキドキしながら彼に近づく。

そして私に気づいた彼は、慌てて運転席から飛び出した。
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