Butterfly
「何かって、どんなもの?」

「中身はわかりませんけど・・・。でも、このくらいの紙袋だった気がします」

咲良が、両手で文庫本くらいの大きさを示した。

市谷さんは軽く頷きさらに質問を重ねていく。

「他には?悪いことしてるって感じる、何か別のことはあった?」

「・・・」

「なんでもいい。悪いことだと感じなくても、気になることがあったら言って」

「・・・はい・・・」

言いにくそうな表情で、咲良は慎重に口を開いた。

「・・・すごくお金が必要だって、いつも私に言っていました」

「金?」

「はい。もうひとつ仕事を・・・会社を経営しているそうなんですけど・・・そっちが上手くいってないって・・・。

このままだと倒産してしまうから、すごくお金が必要だって」

「へえ・・・。それは、どんな会社かは知らないの?」

「・・・はい。なんか、聞いてはいけないような気がして・・・」

消え入りそうな咲良の言葉に、市谷さんはピクリと眉を動かした。

「それでも、キミは何も言わずに彼に金を渡したりした?」

「えっ」

「聞いてるんだ。そういうことがあったかって。通常の店での支払い以外に、貴見に金を渡したりした?」

「・・・・・・はい。すごく・・・困ってそうだったから・・・」

咲良が、これでもかというくらい肩を小さく縮めた。
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