Butterfly
「よし。じゃあ・・・早速だけど。オレたちが質問させてもらってもいい?」

龍平さんが一歩前に進み出て、咲良の顔を覗き込む。

すると、咲良は「はい」と言ってしっかり目を見て頷いた。


(最初に取り調べをした刑事さんは、厳しい人だと言っていたっけ・・・)


龍平さんがいてくれて良かった。

咲良は市谷さんのことを知らないし、市谷さんだけならば、やっぱり怖く感じただろう。


(私と咲良のことを考えて、二人が入ってくれたのかな)


龍平さんは、少し蒼佑さんと似ている気がする。

彼よりだいぶ大人だし、もちろん落ち着いているけれど、場を明るくしてくれる雰囲気は、彼と同じだと思った。

パイプ椅子を準備した市谷さんと龍平さんが、私の右横に並んで座る。

そして咲良の様子を窺いながら、ゆっくり会話を進めていった。

「貴見悠翔が、クスリを売ってたってことは知ってる?」

咲良がプルプル首を振る。

「全く?」

コクンと頷く。 

「・・・もしかしたら何か・・・悪いことをしてるのかもしれないって、そんな感じはしてました。

でも、クスリを売り買いしてるとか、そういうことは全く・・・」

咲良の返事に、市谷さんが「そう」と言って問いを続ける。

「悪いことしてるかもって、それはなんで思ったの?」

咲良がきゅっと唇を噛む。

「一度、見たことがあったんです。お店の裏口のところで怖そうな人と話してて・・・何かを受け取ってたから」
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