Butterfly
「おつかれさま」
 
住宅街の中にある、青い屋根の自宅前。

表札をちょっと過ぎたところで、彼がゆっくり車を停めた。

刑事だからか性格なのか、蒼佑さんはいつも安全運転で、私はとても安心する。

「・・・ありがとう。夕飯もごちそうさまでした」

「うん。また・・・しばらく休みはなさそうだけど。決まったらまた連絡するから」

「うん」

カーナビの時計は、20:10を表示している。

予定より、ずいぶん早く着いてしまった。


(まだ、こんな時間・・・)


もっと一緒にいたいけど。

「早く帰らなきゃ」と言ったのは、他でもない私自身だ。


(仕方ないよね・・・)


自分自身に言い聞かせ、私はシートベルトをガチャリと外す。

そして「またね」と車を降りようとした瞬間、彼に腕を掴まれた。

「千穂ちゃん」

呼び止められ、運転席を振り向くと、真剣な眼差しの蒼佑さんと目が合った。

心臓が、ドキンと大きく跳ね上がる。

私は思わず視線をはずし、そのままさっとうつむいた。

「・・・・・・あのさ」

「うん・・・」

「・・・千穂ちゃん、オレのこと好き?」

「えっ・・・?」
< 20 / 186 >

この作品をシェア

pagetop