Butterfly
「羽鳥様。それでは、こちらに」

通されたのは、店内の一番奥まった場所だった。

促された紫色の大きなソファーに、咲良と二人で腰掛ける。

「悠翔さん、お呼びしますね」と咲良に告げた男性は、私たちに頭を下げると、その場をすぐに立ち去った。

きらびやかな空間。

客として来ている女性たちは、皆、ドレスアップをしていてずいぶん年上に見えた。

やっぱりどこをどう見ても、私は完全に場違いな気がする。

「・・・いつも、一人で来てるの?」

慣れない雰囲気の中、落ち着かない私は、きょろきょろ周りを見渡しながら、咲良に小声で質問をした。

「うん。最初は怖かったんだけど、来るとみんな優しいから」

「そっか・・・」


(咲良はかわいいし・・・なにより、お客さんだもんね)


それにしても。

少し前まで、電車の乗り方さえ危うかった咲良が、一人でこんなところに来るなんて。

悠翔という人が、それぐらい好きっていうことなのだろうか。

落ち着かない気持ちでそわそわしていると、横から「咲良」と呼ぶ声がした。

「悠翔さん!」

振り向いた咲良の、横顔がぱあっと華やいだ。

私も続けてそちらを向くと、咲良の彼氏であろう、ホストの男性が立っていた。


(わ・・・この人か・・・)
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