Butterfly
「そんなものっ・・・」と、令状を奪おうとした彼の手を、女性警官はひらりとかわした。

「はいはい、もう無駄よ」

あしらいながら素早く手錠を取り出すと、彼の手首にカチャリとはめた。 

可月さんは、信じられない、といった表情で、自分の手首を食い入るように見つめていた。

「佐渡(さわたり)くーん。お願い」

女性警官が、宙に向かって声を上げた。

すると、近くに待機していたであろう男性刑事が現れて、可月さんの腕をがっしり掴んだ。

「来い」

佐渡と呼ばれた男性刑事が、抵抗する可月さんを引きずるように出口に向かって連れて行く。

女性警官は、その姿を見届けた後、インカムをつけているのだろう、耳元を押さえながら通話をはじめた。

「市谷さん。可月森次郎、逮捕しました」
 

(え・・・?今、市谷さんって・・・)


聞き覚えのある名前。

私は思わず、ピクリと聞き耳を立ててしまった。

「はい、可月と一緒にいた女もここで待機させてます。はい・・・はい・・・わかりました」
 
会話を終えると、女性警官は私に冷めた視線を向けた。

私はドキリとすくみあがって、反射的に姿勢を正した。

「あなたにも任意同行をお願いしたいんだけど。いいかしら」
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