Butterfly
メディアでしか見たことのなかった、別世界の華やかな場所。

実際、違法薬物の売買なんて怖いことも起こったし、咲良のことも、かばっていいのか、信じていいのか、混乱していてよくわからない。

けれど、咲良は悠翔さんに恋をして、場所がどこであろうとも、会いたかったのは確実なこと。

だから、そんな気持ちも考えないままそんなふうに言われることは、私はなんだか悔しかった。

「・・・何?怒ったんだ?俺は見た目に騙されないから。キミにだって容赦しないよ」

唇を噛みしめた私に、佐渡さんは冷たく告げた。

私はとても悔しくなって、涙が溢れそうだった。

「・・・そうよねえ。私も女だから。あなたの愛らしさに騙されることはないけれど」

津島さんが、考えるように呟いた。

何かを企んでいるような瞳に、胸がすくみあがってしまう。

「岡本くんは、騙されちゃうのかなあ・・・」

含みを持たせるような言葉。

私は、背筋が凍るように、大きな恐怖を感じてしまった。

「『かわいくて純情なお嬢様』っていうふりをして、彼と付き合ってたんじゃない?」

「!」
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