Butterfly
「岡本くんとか・・・他の人から聞いていた印象と、ずいぶんかけ離れてるから。あなたがホストクラブに行くなんて、きっと誰も思ってなかったんじゃないかしら」

「・・・それは・・・」


咲良に誘われて・・・。


そんなことは、絶対口には出来なかった。

警察が、どこまで知っているのかわからない。

咲良が、悠翔さんに騙されていたのかもわからない。

とにかく、私の不必要なひと言で、咲良に迷惑をかけたくなかった。

「・・・やっぱり、なにか隠してるのかな」

津島さんが、私の胸元に目を向けた。

私は咄嗟に、痣のことを見破られたのかもしれないと、ワンピースの胸元を隠すようにきゅっと握った。

「岡本くんは、騙すの簡単だったでしょう。素直だし、単純だもんね」

「・・・そんな」

津島さんが怖かった。

反論したいのに、必要以上の言葉を引き出されてしまう気がして、私はとても怖かった。

「津島さん、その・・・最初に声をかけたのはオレの方ですから。千穂ちゃんは騙すとかそんな気は・・・」
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