Butterfly
「ふーん・・・。じゃあ、そのずっと握ってるワンピースの中、見せてくれる?」

「えっ・・・」

津島さんが、人差し指で私の胸を指さした。

私は全てを暴かれた気がして、ワンピースの胸元をさらにぎゅっと強く握った。


(痣のこと・・・まさか、津島さんが知ってるの?)


蒼佑さんに、今、ここで暴かれてしまうのか。

「ほらね」って、隠し事してたでしょう、彼を騙していたでしょうって、大きな切り札を見せられて、追いつめられてしまうのだろうか。


(いやだ、こんなふうに蒼佑さんに知られるなんて・・・!)


私は恐怖で、不安で、視線を落として身構えた。

「・・・すごい動揺してる。やっぱり、可月からクスリを受け取ったのね」

「!?」


(クスリ・・!?)


予想外の言葉に、私はさらに動揺した。

「胸元に何か入れられてたでしょう。この目でちゃんと見てるから」

「!」


(あの時・・・!)


逮捕される直前、可月さんは、痣を見るために私のワンピースの胸元を引っ張った。
  
津島さんに声をかけられたのは・・・そうだ、ちょうどあの時だ。
< 72 / 186 >

この作品をシェア

pagetop