Butterfly
蒼佑さんの問いかけに、私は煮え切らない言葉を返す。

そのやりとりをじっと見ていた津島さんは、「ねえ」と話しかけてきた。

「『違う』って、言葉だけなら誰だってなんとでも言えるわよ。もう、私が言った通りでいいのかしら。

可月から受け取ったクスリが、あなたの胸元に入ってる。だから見せたくない、そうね?」

「それは、違います・・・」

「なに?じゃあなんなの?隠したいことがなければ、見せられないことないでしょう!」

津島さんが、苛立ったように声を荒げた。

私は、ビクリと肩を震わせたけど、怯みながらもそのままぎゅっと口を閉ざした。

「・・・はあ」

津島さんの、大きなため息が聞こえた。

「本当に頑固な子だね。予想外に長くなりそう」
 







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