Butterfly
「ねえ・・・。もういいじゃない」

時刻はまもなく23時。私と津島さんたちの、譲らない戦いは続いていた。

「とにかく、見せてくれない限り帰せないのよ。そこにあるってわかってるのに、みすみす帰せるわけないでしょう」

津島さんに続き、佐渡さんも「いい加減にしてくれよ」とため息混じりに呟いた。

蒼佑さんも、何度か私を説得しようと試みた。

けれど私は拒むばかりで、彼はずっとつらそうだった。


(このままずっと、こうしてる訳にはいかないんだろうけど・・・)


胸を見せずに、なんとかわかってもらいたい。

けれどもそれを主張したところで、納得してはもらえなかった。


(警察側からしたら、当然なのかもしれないけど・・・)


途中、家に連絡させてくれたけど、父も母も、すごく心配そうだった。


(それこそ、当然だよね・・・)


警察の事情聴取を受けてるなんて。

「詳しくは後で話すけど」、と、「でも大丈夫だから」って、濁したように電話を切った。

あれで、心配しないはずがない。私だって一刻も早く帰りたい。

だけどどうしたらいいんだろう。

胸を見せるという決断が、私はずっとできなかった。

「あー・・・もう、どうするかなあ・・・。とにかく、見せてもらえるまであなたを帰すことはできないの。

それが遅いか早いかだけでしょう。あんまり頑なに拒むなら、こっちも強行手段に出るけど」
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