Butterfly
「・・・始めから、確認させてもらうけど」

沈黙の中、蒼佑さんが口火を切った。

私はゴクリと息をのみ、不安ながらも頷いた。

「ちゃんと、正直に答えてほしいんだ。オレたちは別に、千穂ちゃんを悪者にしたい訳じゃない。

ただ・・・本当のことを知りたいだけ。

それにどうしても、オレは津島さんが推測するようなこと、千穂ちゃんがするとは思えない」

「・・・・・・うん・・・」

「可月とは、知り合いであることは間違いない?」

真っ直ぐに、心を覗き込むように、彼は私を見つめてきた。
 
それは初めて見る表情で、蒼佑さんは刑事なんだと、そして今は刑事として問いかけていると、私の頭は理解した。

「うん・・・」

言いたくないこと、見せたくないこと、それはもちろんあるけれど。

真実を探す彼に嘘をついてはいけないと、そして、言えることは言わなくてはいけないのだと、深呼吸して心を決めた。

「どういう関係?」

「・・・昔、付き合ってたの」

「・・・・・・そっか」
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