Butterfly
(蒼佑さん・・・)


彼を深く傷つけた。胸が、とても苦しかった。

彼が去った後の部屋。

私は津島さんがやって来るのを、切なさを噛みしめながらひとりでじっと待っていた。


そして。

5分ほど経っただろうか。

コンコン、とドアをノックする音がした。

「・・・はい」

「意外と早かったね。もっと時間かかるかと思った」

申し送りを終えたのだろう、部屋の中に津島さんが入ってきた。

目の前の椅子に座ると、窺うように私を見た。

「岡本くんが、想像以上に早く丸め込まれたってわけじゃないよね」

「・・・違います」


(嫌だな・・・)


言わなきゃいけないことだけど。

この人に、痣を見せて、そして話をしなくちゃいけないなんて。
 
「気持ち悪い」って、目を背けられてしまうだろうか。

それとも、「かわいそうね」っていって、過剰な憐れ受けるだろうか。

もしくは・・・「それぐらいで見せなかったの?」って、また・・・大きいため息をつかれるだろうか。


(でも・・・もう仕方ない)


どう思われたって、私には、もう見せるしか道はないのだから。
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