Butterfly
津島さんは、とてもするどい。

ーーーー4年前の、晩夏の記憶。

私はあの日から、もう誰にもこの肌を、胸の痣を見せないと、心の中で決めたんだ。






あれは、高二の夏休みが終わったばかりの、まだ暑い9月の土曜日。

可月さんと付き合って、1カ月が経とうとした日のことだった。


『家に来なよ』


映画デートの帰り道、彼に言われて頷いた。

あの頃の私は、今よりずっと知識もなくて、考えがとても甘かった。


(どんな家に住んでるのかな)


わくわくとして、彼をもっと知れることが、私はただただ嬉しかった。

彼氏の家に行くという意味も、深く捉えていなかったんだ。


かっこよくてオトナで、いつも私に優しくて。

私にとって可月さんは、物語に出てくるヒーローのような、まさに理想の男性だった。

だから・・・。

そんな彼が、付き合って1カ月で身体を求めてくるなんて、全く想像していなかった。
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