Butterfly
「わかったわ。岡本くんには内緒にしてあげる」


(えっ・・・)


「ほ、ほんとですか!?」

自分で頼んで、願っていた答えだけれど。

津島さんが本当に、そんな返事をくれるだなんて。

私は思わず身を乗り出した。

「ええ。ちょっと悩んだけど。私から言うべきことじゃないかなって。

捜査情報とはいえね、岡本くんに・・・恋人に、間接的に伝えないほうがいいでしょう」

津島さんが、眼鏡の縁を持ち上げた。

「私はとにかく、悪い奴が嫌いでね。許したくないの。ただそれだけ。

取り調べであなたを問い詰めたのも、あなたが悪い女だって私は予想してたから」

「はい・・・」

「でもね。そういう事情なら、頑なに見せたくないって拒んでいた気持ちもわかるわよ。

いろいろけしかけたけど・・・あなたは本当につらそうだったし。どうなのかなあって、途中で何度か悩んだわ。

確かに私もあなたと同じ痣があったら、すごく悩んだと思う。

自分の見せたくないものを好きな人に見せるのって、すごく勇気がいるでしょう」

「え・・・」


(わかってくれるの・・・?)


津島さんから出た言葉に、私は耳を疑った。

ずっとキツくあたられていたのに、こんな言葉をもらえるなんて。

「・・・すごい顔。私がこういうこと言うのおかしい?こう見えて一応既婚者なの」

「そうなんですか・・・」

「ええ。それなりに恋愛もしてきてるから」
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