Butterfly
「もう遅いから。家まで送る」

振り向くと、そこにいたのは市谷さんだった。

急いで走ってきた様子で、少し息を切らしていた。

「あ、いえ。今津島さんが・・・」

状況を説明しようとすると、上司の登場に気づいた津島さんが、立ち止まって振り返る。

「オレが送る」

津島さんにそう言うと、「ついて来て」と、今度は私に声をかけ、市谷さんはすぐさま歩き出してしまった。

「え?あ、あの・・・」

戸惑って、どうしようかと津島さんに視線を向ける。

すると彼女は、市谷さんの後ろ姿を顎でクイッと指し示した。


(・・・これは、ついて行けってことだよね・・・)


抵抗するのは無駄だろう。

私はコクリと頷くと、前を歩く市谷さんの後を、小走りをしてついて行った。






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