食べちゃうよ。
元カノが出てきました。








結局、諒君は可愛いとか襲うとか言っておきながら、何もせず帰っていった。

正直意外だった。

うさぎの皮を被った狼かと思っていたから。

でも、少し寂しかった。

諒君、あたしに手を出す気も失せてしまったのかな、なんて思ったりした。







あたしは、いつもの服装で大学の食堂に入る。

膝丈のシフォンワンピースに、夏らしいサンダル。

結局、昨日の戦利品は無駄買いになりそうだ。

元彼の時もそうだった。

元彼の好みに合わせて、元彼のために無駄遣いして。

結局浮気されて。

だめだめじゃん、あたし。

そんなことを考えながら日替わりランチを注文して、テーブルに座った。






「千草、大丈夫?」




見かねた綾香があたしを心配してくれる。




「うん……」




そう言いながらも、本当は大丈夫じゃない。

こんなあたしに、綾香が口を開きかけた時だった。



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