悪魔野郎と天使くん


「あの、瞬くん…」


「んー?」


「いえ…。あの、ありがとう。困ってたから…」


「緑ちゃんの声が聞こえたからね」


「…瞬くんは優しいね…」


「そうかな。緑ちゃんだけだよ」


「えっ、」


「なーんてね。急がないとホームルーム始まっちゃう」


「うんっ!」


よく意味が分からなかったけど、瞬くんが今手を引っ張ってくれてる。


もうドキドキがいっぱい。


瞬くん…


教室に入ってあたしが椅子に座った瞬間、


「おせんだよ」


って言ってあたしの髪の毛を引っ張ってきた。


「ちょっ、痛い…」


「何してた」


「何ってトイレに行っただけ…」


「嘘つけ」


「嘘なんかじゃ…」


「緑、嫌がってるじゃん」


瞬くん…


「は?コイツがわりんだろ」


「それなら僕も同じだよ。それに髪まで掴む必要ないんじゃない?」


「…ったく」


瞬くん神様…。


あたし瞬くんには助けられてばっかり…。


すると後ろからプリントが回ってきた。


今度は何…。


あたしがいやいやながらそのプリントに目をやると、


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今日の放課後付き合え。


いいな、絶対だからな

断ったらただじゃおかねぇぞ

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え…こわっ。


なんであたしが…


でも断ったら怖いしー…


あたしは小声で、分かったよと言った。


放課後何すんだろって、かなり怯えながらもホームルームを終えた。

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