パッシングレイン 〜 揺れる心に優しいキスを
中には、ガラスケースに入った宝石類。
壁一面に掛けられた色とりどりのドレス。
琴美は、その中から純白のドレスが掛けられているコーナーへと私の手を引いた。
「さーてと、どれにしようかな」
片っ端から手に取っては、鏡の前で自分の身体に当てる。
そんな琴美をつい微笑ましく眺めた。
「いろいろ着てみるなら、コート脱いだら?」
あれこれ物色するばかりで、一向に着替える様子のない琴美に声を掛ける。
着る予定のない私のほうは、入ってすぐにコートなんて脱いでしまったというのに。
「うん、そうだね。ねぇ、二葉はどれがいい?」
鏡から振り返った琴美が尋ねる。
「そうだなー、これなんてどう?」
胸元のレースが上品なAラインのドレスを手に取って、琴美に見せる。
「それ、二葉に似合いそう」
「え? 私?」
そうかなぁ……?