わたしの意地悪な弟
 あとは親に許可を得る必要がある。

 利香も一緒なので、反対されないだろうし、タイミングを見計らって聞いてみようと思っていた。

 だが、そのタイミングも思ったより早くやってきたのだ。




 その日の夕食、食事を並べた母親が父親に目配せする。

 父親も確認したように頷いていた。

 何かあるのだろうとして身構えたが、思いがけない誘いが母親の口から聞かされる。

「次の次の週末、よかったら家族で旅行に行かない?」

 その週末は半田君の誕生日を祝おうと決めた日だ。

 家族と旅行に行くのは嫌ではないが、今の関係の樹とこれ以上同じ時間を過ごすのは心苦しい。

 それに今日の明日で友人たちの誘いを断るのは気が咎めた。

 樹は無表情で両親の話を聞き、日和は箸をもったままあごに手を当て、考えるしぐさをしていた。

「わたし、その日、利香たちと約束しちゃったんだ。別の日ならいいけど」

 二人が何も言わなかったため、わたしは先陣を切る形で、そう告げた。

 半田君の家というよりも利香の名前を出したのは、彼女に対する両親の信頼が絶大だったからというのが大きかった。
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