わたしの意地悪な弟
 わたしの両親は再婚してからはわたしたちのことをなによりも優先してくれてきたのだ。

 たまには二人で羽を休めるのもいいはずだ。

「お姉ちゃんは利香さんたちと出かけるの?」

「正確には半田君の家だけどね。もちろん利香も一緒だよ。その日、半田君の誕生日で簡単にパーティでもしようということになったんだ」

「半田ってあの花火大会のときに来ていた背の高い人だよね」

 わたしは頷く。

 日和が一瞬、わたしの背後を見た。

 振り返ろうとしたわたしの手をつかむ。

「楽しんでくるといいよ。プレゼントはどうするの?」

「試験が終わった後に利香たちと選びに行く予定。ケーキにしようということになっているの」

「ケーキか。差しさわりがなくていいかもね。でも、お姉ちゃんが男の人の家に行くのか」

「利香たちも一緒だよ」

「行くことには変わりないじゃない」

 妙に明るい笑顔を浮かべる妹に引っかかり、わたしは首を傾げていた。

 部屋に戻る時に振り返っても誰もいなかった。
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