わたしの意地悪な弟
「俺はずっと千波と一緒にいたいと思っている。ずっと好きだったから」

「わたしだって、そう思っている」

 そう口にするだけで頬が真っ赤に染まる。

「分かった。お父さんには伝えていいの?」

 母親の問いかけにわたしと樹はほぼ同時に頷いた。

「お父さん、怒るかな」

「怒るかも知れないけど、びっくりするんじゃないかな」」

「お母さんは反対しないの?」

「わたしは、好きなら仕方ないと思うのよ。二人が本気で、それが後々二人の人生に影響を与えるなら、最初から認めてあげたほうがいいと思うの。

二人なら、お互いが幸せになれる人生を見つけられると思うから」

 わたしは母親の言葉に目がしらが熱くなる。

 樹の目も心なしか潤んでいる気がした。
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