わたしの意地悪な弟
「反対されるのかと思っていた」

「そういう気持ちもゼロではないし、樹は中学生くらいからずっと千波のことが好きだったんでしょう? 

そんなにわたしの娘を好きでいてくれたなら、賛成しないわけにはいかないでしょう? 客観的にも、法的にも血のつながりもないし、何の問題もないのだから」

「ありがとう」

 わたしは苦笑いを浮かべると、頭をかいた。

 わたしの両親はそういう表面的なことではなく、本当にわたしと樹を理解してくれようとしていたのだ。

 最初から黙っていようと決めたわたしたちは浅はかすぎたのかもしれない。

「お母さんの行ったことは間違っているよ。樹は小学校低学年くらいからずっとお姉ちゃんのことが好きだったんだよ。

ちなみに初恋もお姉ちゃん。お姉ちゃんも樹が初恋みたいだったけどね」

 予期せぬ声に顔をあげると、リビングの扉付近に立った日和がそう悪戯っぽく笑った。

「そうなの?」
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