社内恋愛症候群~クールな上司と焦れ甘カンケイ~

十月に入ったある日の昼休み。会社を出て、少し離れた場所にある定食屋へと女三人で向かう。

「今日の日替わりなにでしょうか? 実は久しぶりだからすごく楽しみで。午前中の業務はランチを楽しみにして乗り越えました」

貴重な息抜きの時間になる恒例のランチは私の楽しみのひとつだ。

「小学生のとき『給食だけが生きがいです』みたいな、こんな子いたわよね」

クスクスと笑いながら、綺麗に巻いた髪をかきあげるのは、営業企画部の蓮井貴和子(はすいきわこ)さんだ。衣川課長と同期で昨年までは営業課で営業として働いていた。

新卒でなににも出来ない私に、根気強く仕事を教えてくれた。厳しいけれどやさしい人だ。

いつもスーツをビシっと着こなしていて、頭の先から爪の先まで抜かりがない。絵に描いたようなキャリアウーマンの貴和子さんは、私の憧れの存在だ。

「私、そんな食いしん坊じゃないですよ」

唇をとがらせる私を見て、クスクスと笑う。

「そうね。食べるって言ったら滝本(たきもと)さんにはかなわないわよね」

「だって、食べないと身がもたないですもん」

当たり前のように言うこの人は、営業第二課の滝本汐里(しおり)先輩だ。うちの課の成瀬さんと同期入社。
ぱっつんと切りそろえられた前髪の下で、くるりと大きな目を回しながら肩をすぼめた。
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