社内恋愛症候群~クールな上司と焦れ甘カンケイ~
「私は昨日飲みすぎたから、煮麺にするわ」
貴和子さんの頼んだメニューに汐里さんは驚いている。
「そんなんで足りるんですか?」
「大丈夫よ。三十過ぎたら、翌日セーブしないと落ちるものも落ちなくなるのよ」
貴和子さんは十分細いウェストをさすっている。
「私だったら、三時にハンバーガー食べちゃいそうです」
「汐里さんったら、そんなに食べて太らないなんて不思議です」
「毎日ハードだからね! 今日も午後からは外回りだし」
何気ない会話をしていると、すぐに目の前に料理が並んだ。この定食屋はご飯もおいしいけれど、一番の魅力は料理がすぐに出てくるところ。「いただきます」と三人声を合わせると、すぐに食べ始めた。
「河原さん最近仕事はどう? 衣川くんにいじめられていない」
「はい。去年と違って少しは褒めてもらえるようになりました」
私の返事に、汐里さんが思い出したように笑い始めた。
「去年の朔ちゃんひどかったもんね〜。衣川課長に常に怒られて涙目だったもん」
「言わないでくださいよ〜」
事実なだけに苦笑いを返すしかない。
「仕方ないわよ。前の課長は“事務の女の子は言われたことだけしてればいい”だったもんね」
私が営業事務として配属されたときにの上司は、今の衣川課長でなかった。一年目の私は言われた事務仕事だけをこなすのに精一杯だったしそれ以上を求められることもなかった。